高知のオーダーメイドジュエリー専門工房のMisabouです。
今回のオーダーは、男性用のシルバーリングです。
しかも、ワイドな幅広タイプ。
そして、お持ちの石を使っての製作。
石は下画像の石。
参考)↓石のイメージと大きさの参考に、ご依頼主様が送って下さった画像です
なんでも、大事にしていた指輪を失くしてしまったとのこと・・・。
新しく指輪を作りたいということで、オーダー製作のご相談をいただいたのがきっかけでした。
お仕事の関係で、高知へ単身赴任でお出でているということでしたが、
慣れない土地で、オーダーメイドをしようとMisabouを探して来てくださり、この後、完成までに打ち合わせのため何度もご来店いただきました。
宝石にご興味がある方で、ルース(裸石)という枠に留まっていない宝石を色々とお持ちでいらっしゃいました。
海外へ行かれた際になどに、現地でルースの状態で買い付けなさったりもされるとのこと。
本当に宝石がお好きだし、その石に対しての想い入れも特別なものがあるし、深いんだなぁ~と感じました。
さて、肝心のデザイン提案ですが、
ご希望の条件は
・幅広いストレートなタイプのリング
・模様ありのデザイン
・基本はシンプル
・中指用もしくは人差し指用
・透かし模様又は、凸凹彫り
・石は4本爪で留める
でした。
それらを踏まえてデザインアップをし、デザイン画作成・提案。
ご検討いただく中で、
「(提案したデザインのような感じでは無くて)この想いと形をデザインに取り入れたい」
という想いが強く出てきたようで、改めてデザインの方向性を変更することに。
このような事は時々あります^^
デザインの打ち合わせの中で、実際に形として見えてくる段階で希望や条件などは、変化していきます。
Misabouでは、そのようなご要望にも柔軟に対応させていただきます!
そのための「打ち合わせ」なので、これからオーダーいただく方も その点はご遠慮なく!です^^。
五台山
さて、そのデザイン(改)のモチーフは、下画像の中に映っている「山」です。
山の名前は、五台山。
↑デザインイメージにいただいた参考資料です。イラストは、ご依頼主様がご自身でデザインなさったものだそうです。
この五台山は、文殊菩薩の聖地で地形が中国の霊場五台山(中国山西省)に似ていることから、その名が付いたといわれている山です。
よ~く見れば、確かに5つの平たい山からなっているのが分かります。
四国霊場八十八カ所の札所でもある「竹林寺」がある山としても(その辺りでは)有名です。
なぜ、この五台山をモチーフにするのかというのは、参考資料からもお分かりのとおり五台山の下を通る自動車専用道路の工事をしている会社へお勤めで、
想い入れを持っていただいた山であるということ。
そして、そんなご縁があったという事をカタチにするお手伝いをさせていただくことに。
そんな想いを踏まえて、五台山の山並みをデザインした中からベースのデザインをお選びいただきました。
そして、もう少しだけ”こだわり””想い”を詰めていきます。
お勤めの会社のロゴが「M」をモチーフにしたロゴなので、ロゴのイメージをリングに取り入れたいというご希望。
デザインは、足し算ばかりではなく引き算も重要なのですが、今回はデザインのアクセントになるしアレンジアップになるということもあり、その要素を取り入れることに。
そして、もう1点。
M要素を取り入れるために、リング幅を当初の予定よりも幅広くしたことでポッカリと空間が生まれることに。
そこへ、「雲」を取り入れたいというご希望をいただきました。
”打ち合わせ中に、「なるほど~!」と閃いたものが・・・”
リング自体をキャンバスに見立てて単なる「山モチーフ」ではなく、”風景”としてデザインすることに。
原型製作
「五台山の風景」デザインが決まったところで、原型製作です。
いつものように、ワックス削って指輪を製作。
「遠近感」が大事なポイントだったので、それをどのように表現するか考えながらの製作です。
とはいえ、概ね方法やイメージは決めた上での製作開始なんですが、細かいディテールをどうするかはその時その時の感覚で作り込みます。
ヤスリも、直線的なものだけではなく先が曲がった特殊なヤスリも使って成形していきます。
アレキサンドライトが座る石座部分の内側(指なじみ)のヤスリがけ。
スポンジヤスリをかけて、下仕上げ。
全体の形が整ったところで、、、
次に、「遠近感」の部分の加工に入ります。
五台山の写真画像を見ながら、頭の中でイメージをシミュレーションして・・・
いざ!山肌にテクスチャを入れていきます。
このテクスチャ加工は、ある意味”一発勝負”なんです。
スパチュラで、かきかき。
山のイメージを意識しつつ、表面に凹凸をつける加工をしていきます。
5つの山、全てテクスチャは違えます。
一番手前の山のテクスチャは粗めに、奥の山ほど滑らかに・・・。
短いですが、
ワックスを盛りつけて加工するテクスチャ加工の作業動画もお楽しみください♪
画像ではかなり拡大した状態ですが、実際は指輪の幅は約13㎜に収まったデザインになるので実際に見ると
テクスチャの雰囲気が分かりづらいんです。
原型用のワックスは、緑色の素材なので目には優しい色ですが凹凸感が分かり難いため墨を入れて凹凸感を確認します。
私の指だと、かなりのボリューム感にみえますね^^;
男性用なので、この位のボリュームは問題はないです♪大丈夫!
原型、完成です。
この原型はこの後、鋳造に使用する型となるので緑色の指輪は、原型チェック時点で見納めとなります。
今回のブログは、いつもより画像多めでいってます!
もう少しお付き合いください(_ _)
仕上げ
鋳造を経てシルバーとなったリング。
真っ白です。
「銀」って鋳造し立ては、このように真っ白なんです。
これを磨けば、普段目にする「銀色」に。
鋳造の際にできる不要な部分(湯道)を糸ノコで切断。
後は、全体をヤスリがけをして整えます。
ヤスリも、粗い目のものから細かい目のものへ順番にかけていきます。
指輪の内側も、紙ヤスリを回転工具に取りつけて整えます。
下磨きをした時点で、山の部分はサンドブラストでマットな質感にします。
それから、山の部分も含め指輪全体のツヤ出しの磨き加工。
テクスチャ加工をした部分も、精密に鋳造出来ていてイイ感じになっていますね~♪(自己満足モード)
下仕上げを終えた時点で、サイズフィッティングをしていただきます。
この時点までに、(お忙しい中)何度ご来店いただいたことか・・・^^;
フィッティングでのご来店が、お納品前最後のご来店となります。
最後の工程で、石留をして、いぶし加工をして・・・
最終、完成となります。
↓画像は、いぶし加工前の状態。
側面です。
いぶし加工後が、↓下画像。
いぶし前後の雰囲気の違い、お分かりいただけるかしら?^^
いぶし加工をすると、グッと渋くなりました!
陰影がついたこともあり、際立つところは際立つ。
そして、立体感をより感じるようになりました。
しかし、画像では伝えきれていない、この指輪の印象を・・・。
*写真の腕を上げるべき・・・ですね^^;
ちなみに、指輪のサイズは22号相当。幅は13㎜。
アレキサンドライトは、1.6ct(7mm×6mm)の石。
最初のご相談から完成・納品まで、約5ヶ月間の長丁場のオーダーメイドとなり、
ご依頼主様を大変お待たせしましたが、地元の由緒ある山を指輪としてデザインさせていただいたことは、非常に新鮮で、また大変良い経験となりました。
正真正銘、世界に一つ。
カッコ良くて、渋い大人の男性用のシルバーリング。
ここに誕生です。
今回のデザインのテーマ、「五台山」
五台山と名が付く山は、高知だけに限りません。
私の地元にもあるよ~という方もいらっしゃるかもしれませんね。
本家の中国以外に、ここ高知、そして兵庫県、お隣の韓国、そして宇宙にもあるそうです^^
小惑星の名前に五台山があるそうですが、、、なんだか壮大なスケールになってきました(笑)
あなたにも、心に残る、残したい、、そんな風景がありませんか?
Misabouがカタチにするお手伝いをさせていただきます。
長丁場のブログ、お付き合いくださりありがとうございましたm(_ _)m
最後に、
F様、この度はご依頼いただきましてありがとうございました!
最後まで読んでくださり、ありがとうございますn(_ _)n
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